concept

椿井木工舎のコンセプト

椿井木工舎は1人で製作を行っている小さな個人工房です。製作のテーマとして常に念頭に置いていることは、いかにして高品質な製品を効率的に作るか。工房には大きな木工機械もありますが、全てを自動で加工してくれるようなNCルーター等の最新鋭の機械はもちろんありません。ほとんどが30~50年という時を経た、無骨でアナログな機械です。そんな古い機械たちの力を最大限に引き出し、活かすためにどうするか。

治具 – jig –

治具(じぐ)とは、生産の現場において、作業の効率化や精度向上、安全性向上等、様々な目的のために製作されるもので、生産形態や工場の規模を問わず幅広く活用されています。試作を重ねて定番として販売することが決まったプロダクトに関して、まず治具を製作します。

工房にある機械や道具、刃物、精度、効率性、安全性、材料の性質等、様々な要素を踏まえて手作りで治具を作ります。最初に作った治具に不具合があると、それがそのまま定番として作られていくことになるので、治具づくりはとても慎重に、時間をかけて行います。時には1つのプロダクトに対して、10以上の治具を作ることもあります。

定番品をムラ無く安定的に制作していけるかどうかは、この治具の出来が大きなウェイトを占めています。また、オーダー家具等のワンオフのプロダクトであっても、形状や仕様によっては治具を作って加工することも多くあります。手作りの治具を用いての手で操作して加工する機械の仕事は、手仕事の延長と言えます。

要は手仕事

治具を駆使した加工によって効率的で安全な加工はできますが、やはり機械のみで加工されたカタチや仕上がりは限定的となり、使いやすさやデザインを追求していくと、機械では作り出すことのできない部分が必ず出てきます。そこを補い、より魅力的なプロダクトにするための重要な要となるのが、手仕事です。

機械では加工できない繊細な形状や稜線を生み出すため、ひとつひとつ小刀を使い手で成形していきます。その後の手作業によるサンディングも、表面の仕上がりを左右する重要な手仕事の工程です。家具に関しても、例えばテーブルの平面出しや抽斗の仕込み等、0.1mm単位の微細な調整の場面では、手鉋が活躍します。

椿井木工舎では、この「治具を使った効率的な加工」と「手仕事による加工」を、工程ごとに使い分けることによって、デザイン・設計、材料調達から製作・販売までの工程を1人の人間が一貫して担う個人工房において、「量産」とまではいかないまでも、かなり高いレベルでの安定的な生産を実現しています。高品質でムラのない、細部まで人の手の込められた魅力的なプロダクトを、安定的に製作するという、独自のコンセプトに基きモノづくりを行っています。

PROFILE

椿井木工舎 ZWEI WOOD WORK
二宮大輔 Daisuke Ninomiya

1983
佐賀県有田町生まれ
2002
佐賀県立有田工業高等学校デザイン科卒業
2002
自動車メーカーデザイン部にてクレイモデラーとしてデザインモデル製作・意匠造形業務に従事
2013
退職し、夫婦でヨーロッパ・アジア・中米等世界約35カ国を巡る旅に出る
2014
帰国後、試作モデルメーカーにてモデラーとして勤務
2016
長野県上松技術専門校木工科入学
2017
同校卒業後、長野県上松町にて椿井木工舎 ZWEI WOOD WORK 設立